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高齢者もフッ素を塗布したほうがいい?

高齢者もフッ素を塗布したほうがいい? 高齢者の口腔ケア

「フッ素塗布は子どもがするもの」と考えている方が多くいらっしゃいます。フッ素には歯を強くする効果があるため、生えてきたばかりの乳歯に塗布するイメージが強いかもしれません。しかし、高齢者のフッ素塗布にもメリットはあります。ここでは、高齢者のフッ素塗布について紹介します。

フッ素にはどのような効果がある?

そもそもフッ素にはどのような働きがあるのでしょうか。フッ素の効果として挙げられるのは、次の通りです。

・歯質を強化する
・歯の再石灰化を促進する
・むし歯の原因菌の活動を抑える

フッ素を塗布することで、歯の質を強化したり、溶かされた歯を元に戻そうとしてくれます。また、むし歯の原因菌の活動を抑える効果もあり、むし歯予防効果を期待できます。

高齢者がフッ素塗布を行うメリットとは

「年齢とともに歯ぐきが下がってきた」という話を聞いたことはありませんか?
歯ぐきはどうしても、加齢とともに退縮してしまいがちです。
歯ぐきが退縮することにより見た目が悪くなることを気にされる方も多いです。
しかしそれだけでなく、歯ぐきが退縮すると歯の根っこの部分が露出されてしまいます。

本来であれば歯ぐきに覆われているはずの歯の根っこは歯の質が柔らかく、むし歯になりやすいという特徴があります。そのような露出した歯の根元にフッ素塗布をすることで、歯質を強化する効果を期待することができるのです。

フッ素は体に悪いの?過剰摂取はどこまで?

フッ素塗布は歯質を強くするために有効ですが、「フッ素は体に悪い」といった意見を聞いたことがあるかもしれません。過剰摂取とされる量はどの程度なのでしょうか。

日本歯科医師会によると、60kgの成人の場合、大人用の歯磨き粉(フッ素濃度1450ppm)を80g以上飲み込むと中毒症状が出ると言われていますが、そのためにはかなりの量が必要です。致死量はその何倍もの量を摂取する必要があるため、そこまで摂取することはなかなか難しいといえるでしょう。

部分入れ歯の人がフッ素塗布を行うメリット

部分入れ歯を使用されている方は、金属の留め具(バネ)がかかっている歯のむし歯リスクが高くなるため、しっかり留め具に溜まった汚れをブラシで取り除くことに加えて、歯の質をフッ素で強化してあげましょう。
せっかく入れ歯を作っても、支えている歯がむし歯になると合わなくなってしまうこともあります。また、しっかりとお手入れをしていても、年齢とともに歯質はもろくなりがちです。定期的に歯科医院で検診を受け、必要に応じてフッ素塗布を検討してみてください。

参考文献:
日本歯科医師会「フッ化物の推定中毒量」
https://www.jda.or.jp/park/prevent/index05_05.html
日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会
「4学会合同のフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」
ttps://www.kokuhoken.or.jp/jsdh/news/2023/news_230106.pdf