事業者が労働者に健康診断を受診させることは、法的に義務づけられています。従業員の健康診断の受診率は健全な企業を見分ける上でのチェックポイントでもあるため、受診率の向上は企業にとって大きなプラスとなり得ます。また健康診断は、当然受診する側にも多くのメリットをもたらします。ただその一方で、デメリットがある点も理解しておくことが必要です。
健康診断のメリット
死亡率減少に大きく貢献する
健康診断のメリットとしては、生活習慣病をはじめとした、自覚症状のない病気を予防できる点が挙げられます。健康診断後の保険指導では、健康改善やダイエットについてのサポートを受けることも可能です。また健康診断によって、脳卒中や心筋梗塞など重篤な疾患の兆候も発見できます。疾患の予防や早期発見することで、早期治療につながることも大きなメリットといえるでしょう。そのほか、健康診断の受診率を高めて皆が健康になれば、保険料の値上げ防止にも有効です。健康診断は、死亡率減少に大きく貢献しているのです。
健康診断のデメリット
結果に慢心し、発見が遅れる
このように健康診断にはたくさんのメリットがある一方、デメリットも存在します。まず、健康診断結果に異常がないとされた場合に安心してしまい、病気の初期症状を見逃してしまう可能性があることです。体調の異変を感じつつも「健康診断で問題なかったのだから大丈夫」と慢心してしまうのは禁物です。一般的な健康診断は、人間ドックと比較すると検査項目が少ないため、それだけでは病気の早期発見には不十分な面もあります。
検査内容による偶発症リスク
もう1つのデメリットとしては、偶発症の存在が挙げられます。例えば35歳を境に企業の健康診断に組み込まれるバリウム検査では、誤嚥や排便遅延、穿孔、バリウムアレルギーなどの偶発症が生じることがあります。健康診断といえども、検査内容によってはさまざまなリスクがあることも理解しておく必要があります。
このようにデメリットもある健康診断ですが、自身の健康維持にとってメリットが大きいことはいうまでもありません。会社勤めをしている方だけでなく、すべての方が定期的な健康診断や人間ドックを受けることを推奨します。