冬になると、毎年流行するノロウイルス。突然の嘔吐や下痢に襲われ、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。この記事では、ノロウイルスとは何か、主な症状や感染した際の対処法、そして何より重要な予防策について詳しく解説します。ご家庭でできる対策を参考に、安心して冬を過ごしましょう。
ノロウイルスとは
ノロウイルスは、乳幼児から高齢者まですべての年齢層で感染性胃腸炎を引き起こすウイルスの一種です。非常に感染力が強く、少量のウイルスでも感染してしまうため、集団感染が起こりやすいことが特徴で、食中毒の原因にもなりうるウイルスです。主に人から人へ、または汚染された食品(生ガキなどの二枚貝)や水を介して感染します。
抵抗力の弱い乳幼児や高齢者では脱水になりやすく、得に高齢者の場合、重篤化すると死に至るケースもあります。
ノロウイルスの症状
ノロウイルスに感染すると、以下の症状が現れることがあります。
消化器症状:吐気・嘔吐・下痢が主な症状であり、嘔吐の前兆として吐気があったり、前兆なく突然嘔吐したりすることもあります。下痢は水様性の下痢を繰り返し、脱水症状を起こすことがあります。腹痛やお腹がグルグルなることもあります。
発熱:37~38℃の熱が出る場合もありますが、一般的に微熱が多く高熱が出ることはまれです。
筋肉痛:体がだるく、筋肉が痛むことがあります。
ノロウイルスの症状は、短くて1日、通常2~3日で軽快するため予後は良好です。しかし、乳幼児や高齢者、持病があって免疫力が低下している人などでは、重症化し脱水症状を起こす恐れもあります。
ノロウイルスにかかったときの対処法・受診の目安
対処法
ノロウイルスに感染してしまったら、以下の対処法を心がけましょう。
水分補給:嘔吐や下痢で体内の水分が失われるため、こまめな水分補給が大切です。経口補水液やスポーツドリンクなどがおすすめです。ただし、一度に大量に飲むのではなく、少しずつ何度か分けて飲みましょう。また、嘔吐が激しい時には無理をして水を飲まず、吐気が収まってから水分を摂取します。
食事:症状が落ち着くまでは、消化の良いものを少量ずつ食べましょう。刺激の強いものや油っぽいものは避け、おかゆやスープなどがおすすめです。
安静:発熱や下痢・嘔吐により体力を消耗しています。静かに横になり、 体を休ませることが回復を早めます。
周囲への感染防止:嘔吐物や便は、塩素系漂白剤で消毒し、ビニール袋などに入れて密閉して捨てましょう。汚れた衣類や寝具は、他の洗濯物と分けて洗いましょう。
受診の目安
ノロウイルスは症状が長引くことは少ないため、自宅安静でも軽快することはあります。ただ、乳幼児・高齢者は脱水になりやすく、持病があって抵抗力が低下している方は、重症化リスクがあります。該当する方、また水分もまったく取れず脱水症状が強い方、激しい腹痛がつづく場合は医療機関の受診をお勧めします。重症化の危険性がある3歳未満・65歳以上の方は、医師の判断によりノロウイルス抗原検査が行われることがあります。
受診した場合、基本的な治療は対症療法です。個々の症状に応じて発熱に対しては解熱剤の処方、腸炎に対しては整腸剤の処方がされるケースがあります。ノロウイルスに対する抗ウイルス薬はなく、市販薬でもノロウイルスの特効薬はありません。下痢止めの薬で下痢をとめることはウイルスの排出を遅らせ症状を長引かせることがあるため、原則使用しない方がいいでしょう。
ノロウイルスの感染予防
集団生活でも家族が感染した時でも重要なのは手洗い・うがいの徹底です。日ごろからこまめな手洗いを心がけることで、集団生活での感染予防の助けになります。
家族内で感染した場合、感染した人と接触するときには、マスクをします。寝室は感染者と非感染者で分け、部屋をこまめに換気し、清潔な環境を保ちましょう。可能であればトイレもわけることをお勧めします。
感染者の吐しゃ物やおむつの処理の際にはマスクを着用し、ビニールの手袋をつけて処理をしましょう。マスクは飛散したウイルスの吸い込みを防ぎ、手袋で接触感染を予防します。ノロウイルスはアルコール消毒が効きません。床に嘔吐した時などは次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)を薄めて消毒します。
食材は十分に加熱し、生食は避けましょう。調理器具や食器は、熱湯消毒または塩素系漂白剤で消毒しましょう。
まとめ
ノロウイルスは得に冬場に流行し、嘔吐や下痢といった急性の胃腸症状を引き起こします。家庭内や職場などで感染が広がりやすいため、正しい知識を持って対処することが大切です。脱水症状の予防や、無理に食事を取らないこと、下痢を止めないといった基本的な対処法を行うことで、回復を促進できます。
また、感染予防として手洗いや消毒、感染者の吐しゃ物の適切な処理などを徹底することで、家庭内や職場での感染拡大を防げます。ノロウイルスに対する正しい対応を心がけ、冬の感染拡大を予防しましょう。