外来機能報告制度とは
外来機能報告制度とは、外来医療提供の実施状況を都道府県へ報告することを、病院などに義務づける制度です。対象となるのは病院および有床診療所で、無床診療所については任意とされています。
外来機能報告制度は、2021年5月の医療法改正により成立・公布され、2022年4月から施行となりました。これまで、病床の医療機能を報告する制度はありましたが、外来医療提供に関する報告制度は設けられていませんでした。
外来機能報告制度の目的
外来機能報告制度の目的は、地域の医療機関における外来機能の明確化および連携です。その実現に向けて、地域の中小病院やクリニックでの外来提供状況について、データに基づく議論を進めることを目指します。
外来機能報告制度の背景
大病院での長時間の待ち時間
現状として、患者様が医療機関を選択する際、患者様ご自身が専門外来の情報を充分得られているとはいいにくい状況です。そして地域の中小病院やクリニックよりも大病院のほうが安心だというのが、多くの患者様が持つイメージです。そのため大病院では、患者様の待ち時間が長くなったり、勤務医の外来負担が大きくなったりといった課題を抱えています。
このような課題を解決するため、2016年から厚生労働省により、紹介状なしの大病院受診に対する定額負担が義務づけられました。大学病院などの特定機能病院と、一般病床200床以上の地域医療支援病院を紹介状なしで外来受診した場合に、定額負担を求めるというものです。ところが依然として、紹介状なしに大病院を受診する患者様は少なくありません。
紹介受診制度の強化

そのため外来機能報告制度によって、紹介受診制度の強化を図ります。具体的には、地域においてまずかかりつけ医機能を持つ中小病院やクリニックを受診し、高機能病院での治療が必要だと判断される場合には紹介状を持って受診する、といった流れの徹底を目指すことです。
そのためには、かかりつけ医機能を担う医療機関と、高機能病院など大病院とのさらなる医療連携が求められます。