バリウム検査と内視鏡検査の特徴
胃などの消化管を検査するときに選択するのは「バリウム検査(消化管造影検査)」、「内視鏡検査」と呼ばれる2つの検査方法です。それぞれ異なるメリット・デメリットはありますが、まず得られるデータに違いがあります。
バリウム検査
バリウム検査(消化管造影検査)では、消化管内に造影剤を注入し、体を通過するレントゲン量の濃淡を反映したレントゲン写真から診断を行います。白黒のモノトーン写真により、粘膜側の凹凸と胃の形状が読影可能です。形態や大きさ、位置など消化管の全体像を把握しやすく、内視鏡検査の補完的役割を担います。例えばスキルス性胃がんの発見に関しては、内視鏡検査よりも有効だとされています。
ただし液体である造影剤は、重力や消化管の働きによって流れてしまい刻々と変化していくため、再現性の低さが難点です。
内視鏡検査
内視鏡検査は、スコープを体内に挿入することで消化管の内部を観察します。形態変化や色調変化について、光学的に高い再現性をもって観察できます。精密な検査ができること、内視鏡治療への応用が可能な点でいうと、内視鏡検査のほうが有効な検査方法でしょう。
X線被ばくについて
そのほか、X線被ばくについても両者に相違点があります。バリウム検査(消化管造影検査)はレントゲンを用いるため、X線被ばくがあるのです。もちろん人体に悪影響のないほどの被ばく量ではありますが、X線被ばくに不安を感じる方は少なくありません。そのような方にとっては、レントゲンを用いない内視鏡検査のほうが安心でしょう。
バリウム検査と内視鏡検査の比較
両者を比較すると、バリウム検査(消化管造影検査)のほうが手軽に受けられて比較的費用が安いメリットを持ちますが、 バリウム検査(消化管造影検査)で異常が発見された場合には結局内視鏡検査を受ける必要があります。内視鏡検査では直接胃粘膜を観察するため、1mmほどの病変でも発見することが可能です。より精度の高い内視鏡検査をはじめから受ければ、手間が省けるとも考えられます。