緩和ケアの適用と在宅看取り
緩和ケアは治療と並行して患者様の精神的・身体的苦痛を和らげるために行われることもありますが、多くの場合、他に行える治療がない際や体調が悪化し通院治療がこれ以上行えないときに自宅や老人ホームのような施設で行われます。
そして、在宅緩和ケアを選択した患者様が人生の最後を家族とともに迎えたいというご希望があった場合、在宅看取りが行われ、訪問診療が受けられます。
QOLの重視と心のケア
在宅緩和ケアや在宅看取りを決断したからといって、治療を止めることや人生の最期を迎えることに対する不安や恐怖がなくなるわけではありません。そのため、QOL(生活の質)を大切にし、ご自宅でこころ穏やかに過ごせるようにするために、患者様が大切にしていることや望むことを行えるようサポートします。
患者様はもちろんのこと、そのご家族や友人、知人も含めて身体的苦痛や精神的苦痛を取り除くことを最優先にしたアプローチといえます。
在宅緩和ケアの実践
在宅緩和ケアを行う際は、医師や看護師、ケアマネジャーなどが定期的に訪問し、身体的苦痛や精神的苦痛を和らげるために、点滴や服薬(鎮痛剤)で痛みをコントロールします。また、食欲低下・経口摂食困難の問題を抱える患者様も多いので、栄養管理も併せて行われます。
患者様の日常生活にはご家族の対応が不可欠のため、ご家族が適切に対処できるように看護や介護の知識面でもサポートしていきます。
在宅での看取りの対象と重要性
在宅での看取りは特定の病でしか利用できないといった対象の制限はありませんが一般的に、末期癌、認知症、脳卒中、神経難病、老衰の方の利用が多くなっています。なにより在宅看取りに重要なのは、最後まで自宅や住み慣れた施設で過ごしたいという患者様の希望や、看取りたいというご家族の希望です。そのため「24時間体制で医療と介護ができる訪問診療」が必要となります。
また、在宅看取りを希望したものの、やはり病院で治療をしたい、または病院などで緩和ケアを受けたいという考えに変わるかもしれません。そのような場合は、在宅緩和ケアから切り替えることも可能です。