胃アニサキス症の症状と特徴
胃アニサキス症とは、サーモンやサバ、イカ、カツオなどの海洋生物に寄生するアニサキスという寄生虫が原因で発症する胃の症状のことを指します。
アニサキスは2cmから3cmほどの長さの半透明の糸のような寄生虫で、オキアミというエビの形をしたプランクトンを第1宿主としています。このオキアミを捕食する天然の魚介類が寄生されることが多いのです。ちなみに養殖の魚は人工のエサを食べているため、アニサキスは宿していません。
アニサキス症にはいくつかありますが、一番多いのは胃アニサキス症です。
アニサキスに寄生された魚介類を食べることで、アニサキスが口から胃に入ります。そして、アニサキスが胃の壁に食いついて虫体の一部が入り込むことで発症します。
冷凍されていない天然の魚介類を食べてから数時間後に激しい胃の痛みや吐き気、嘔吐、お腹が張るなどの症状が出ることが特徴です。
入り込む場所によって症状の出る時間や症状の強さは異なりますが、魚介類を食べた後に症状が出た場合は医療機関への受診が必要です。
この胃アニサキス症の痛みは、胃の壁に入り込まれることによっておこる直接的な痛みではなく、実はアレルギー反応によるものということが分かってきました。アニサキスは人を宿主にできないため、長くても1週間で死んでしまうものの、患者様によってはアナフィラキシーショックを引き起こすこともあるため、早急な対処が望ましいです。
内視鏡治療による胃アニサキス症の対処法
胃アニサキス症は胃に入り込んだアニサキスを除去することで回復できます。
胃アニサキス症が疑われる場合は、内視鏡(胃カメラ)で検査を行い、胃粘膜に入り込んでいる虫体を探し出して治療(内視鏡で除去)します。内視鏡の治療は苦痛を最小限にして治療ができるため、患者様に安心して受診していただけます。
ただし、胃の内視鏡検査は胃に内容物がない状態でなければアニサキスを発見して除去することが難しいです。そのため、食べ物を消化できる食後6時間から8時間経過してなければ治療ができません。