高齢化が進み、歯科医院へ通院できない患者様が増加していることで、歯科訪問診療の認知度やニーズも高まっているため、歯科訪問診療の歯科医師は、将来性のある職業といえます。需要拡大に伴い、歯科医師に求められることが増えていくことも予想されるため、歯科訪問診療の今の課題などを確認しておくことが重要です。
コミュニケーション力
歯科訪問診療を利用する患者様は、自力で通院ができない要介護の方が対象です。しかし、要介護にも段階があり、体は少し不自由でも意思疎通ができる場合もあれば、寝たきりなどで体を動かすこともコミュニケーションをとることも困難な場合もあります。そのため、歯科訪問診療の歯科医師には、幅広い患者様の層にも柔軟に対応できるコミュニケーション能力が必要不可欠です。患者様以外にも、ご家族の話を聞くことや、チームで動くことも多いため同行するスタッフと連携できるスキルも求められます。
摂食嚥下の補助や介助
要介護の患者様が対象の歯科訪問診療では、歯科治療だけでなく、食べる力や飲み込む力を維持するためのリハビリも行います。歯科衛生士やケアスタッフが中心に行いますが、歯科医師にも補助できるだけのスキルが必要です。その際に要介護の患者様の身体を介助することも少なくないため、訪問する歯科医師には介助への慣れや体力も必要とされます。また、診療を行っている最中に新たな口腔内トラブルを発見する場合もあり、その際の応急処置ができる対応力も重要です。
判断力や説明力
歯科訪問診療の訪問回数は月1~2回が一般的ですが、患者様の症状によっては訪問回数も増えることがあります。歯科医師には患者様の口腔内を確認し、継続的に診療が必要か判断する能力も求められます。状態だけでなく患者様本人、またはご家族の要望も聞きつつ、訪問回数を決めていきます。また、訪問できない期間にも適切なケアができるようにアドバイスを行うことも重要であり、患者様本人、またはご家族にわかりやすく伝えるスキルも持ち合わせておくことが大切です。