内視鏡治療とは、早期のがんやその原因となる部分を内視鏡を使用し切除することを指します。
内視鏡は細長い管状の医療機器で、口や肛門、尿道から挿入して治療します。先端に取り付けられたカメラから撮影した画像をモニターに映し出し、それを見ながら先端から出し入れできる器具で切除することが特徴です。
内視鏡治療で切除できるがん腫瘍
内視鏡治療で切除できるがん腫瘍は、食道がん、胃がん、十二指腸がん、大腸がん、膀胱がんです。
大腸がんは肛門から、膀胱がんは尿道から、それ以外のがんは口から内視鏡を挿入し切除します。
通常は1cmほどの内視鏡を使用しますが、膀胱がんの治療の場合は5mmから8mmほどの細い内視鏡を使用して治療していきます。
内視鏡で行う治療は外科手術に比べて痛みが少なく、回復も早いため、患者様への負担が少ないことが特徴です。
内視鏡治療が行えるかの判断基準
内視鏡治療が行えるかの判断はがんの進行度に左右されます。
食道などの消化管にできたがんは早期の小さい状態であれば内視鏡で切除できますが、大きいものや深くに腫瘍がある場合や、複数箇所に腫瘍があって一度に取り除けない場合は内視鏡治療では対処できない可能性が高くなります。
内視鏡治療の準備と麻酔
内視鏡治療を行う際は前日に入院することが基本です。
食道がん、胃がん、十二指腸がんの内視鏡治療の場合、胃の中を空っぽにした状態でなければ適切な治療が行えないため、治療前は絶食する必要があります。
膀胱がんの場合も前日に入院が必要で、夕食後から絶食します。
治療前に腰椎麻酔か全身麻酔(消化管のがんの場合は多くは静脈麻酔)を行いますので、痛みや内視鏡が通ることで感じる違和感を覚えることなく治療が可能です。
大腸がんの内視鏡治療
大腸がんの場合も前日に入院することが多いですが、ポリペクトミーやEMRなどの高周波電流を使用した内視鏡治療は外来で受けられます。
どちらにしても、大腸の中に便が残っていない状態にするため、前日の食事は繊維質が少ないものを選ぶなど注意をし、夕食から絶食しなくてはいけません。治療当日は腸管洗浄液を飲み、腸内を綺麗にしてから治療を行います。