歯科衛生士は患者様の口腔内の健康を守る重要な役割を担っています。しかし、長年人手不足が続いているといわれています。それはなぜなのでしょうか。
歯科クリニックの増加に追いつかない
ひとつ目の理由は歯科クリニックが増加する一方で、歯科衛生士の数が追いついていないことです。2019年2月時点の歯科衛生士名簿登録者数は28万3,032人、令和2年衛生行政報告例 就業歯科衛生士の人数は14万2,760人でした。単純に計算しても半数が資格を有していて就業していないことになります。歯科衛生士の資格を持っていても、出産や育児などで退職し、その後復職していない人が多くいますので、この数字も考えると、各歯科クリニックの人手不足はより深刻といえるでしょう。
歯科衛生士の転職率の高さ
2つ目は転職率の高さです。歯科衛生士で一度でも職場を変えた経験がある人は75%以上です。また、2021年度の新卒歯科衛生士の有効求人倍率が22.6倍であったことから、歯科衛生士はかなりの売り手市場といえます。仕事内容や職場環境、給与や待遇などに不満があり、改善されないようなら、より良い条件の職場に転職する人が多いようです。
退職する歯科衛生士の多さ
3つ目の理由は、出産・育児などで退職する人の多さです。現在、歯科衛生士として活躍している人の大半が女性で、ライフステージの変化を理由に離職するケースが多いです。もちろん中には出産・育児を経験してもフルタイム勤務を希望する人もいます。しかし、子どもの預け先がないなどが理由で復職ができない場合もあり、男性と比較するとどうしても長期勤務できる割合が低くなります。
国家資格のハードルの高さ
4つ目の理由が、歯科衛生士になるための国家資格のハードルの高さです。歯科衛生士になるにはまず国家試験の受験が必要ですが、受験のためには3年制の専門学校・短大もしくは4年制大学を卒業しなくてはいけません。歯科衛生士の試験は年に1回実施されており、合格基準は正答率60%です。合格率は約95%と、他の医療系の国家試験と比べると高い合格水準ではありますが、誰でも受験できないという点でハードルが高くなっています。