学校で受ける健康診断とは
学校で健康診断が行われるようになったのは明治時代からで、子どもたちの健康管理を目的に現代まで続いています。日本では春の健康診断が恒例行事ですが、世界的には学校で健康診断が行われるのはとても珍しく、子どもの健康は家庭で管理するのが一般的です。学校で受けられる健康診断は病院での診察とは異なります。1人ひとりを丁寧に診察することはできませんが、家庭での健康管理だけでなく専門機関と連携して子どもの健康を管理することは多くのメリットがあり、健康意識の向上に役立っています。
健康診断の検査項目
視力や聴力、歯や口腔内の検査
健康診断の検査項目は、学校保健安全法に基づいて決まっています。身長、体重の他に、視力や聴力、歯や口腔内の検査を行います。特に歯や口腔内の歯科検診は、顎関節や咬合の状態を早期に把握できることがメリットです。顎関節症は小学生から現れ始めることも多く、健康診断で状態を把握して適切な指導を行うことで予防に繋がります。
脊柱や胸部の状態、結核や心臓疾患の有無
その他には脊柱や胸部の状態、結核や心臓疾患の有無など体の内部に異常がないか調べます。姿勢の悪さが内臓に悪い影響を与えていないか確認し、授業の妨げにならないように指導、改善していくことも健康診断の役割のひとつです。内科検診で治療や精密検査が必要と判断された場合は医療機関への受診を促し、速やかに対処するように伝えることが重要です。
運動器検診
運動器検診では、身体を支える骨や筋肉、腱などの運動器について調べ、運動機能が正常に発育できているか調べていきます。成長期の子どもの運動器は成人に比べて強度が低く、損傷するリスクが高いため、毎年の健康診断で調べて異常がないかチェックしていくことが大切です。運動器に異常がある場合は整形外科への受診を促していき、受診後は家庭で運動不足の解消ができるように指導を行うことが必要になります。
学校での健康診断は子どもの身体の状態を把握し、指導する役割を担っています。運動や座学の授業を適切に受けるためにも、健康への意識は重要であり、その意識向上には学校の健康診断は欠かせない存在といえます。