職場で、雇い主が従業員に対して定期的に健康診断を受けさせることは義務です。これは、労働安全衛生法66条に記されているものなので、健康診断を受けさせていない雇い主は罰則が与えられる可能性があります。すべての人が健康に、安全に働いていくために重要な制度です。
定期健康診断とは
健康診断といえば、年に1回実施する定期健康診断をイメージされる方が多いでしょう。常時雇用されている従業員は1年に1回健康をチェックします。職種や業務内容などに関わらず、すべての企業と労働者が対象となります。
一般健康診断とは
一般健康診断は、労働安全衛生法66条内で健康診断の内容や対象者が定められており、業務内容や実施の時期によって5つに分けられます。①年に1回の定期健康診断以外に、②雇入時の健康診断、③特定業務従事者の健康診断、④海外派遣労働者の健康診断、⑤給食従業員の検便があります。
5つの健康診断について
②雇入れ時の健康診断は、対象の労働者が勤務できる状態なのかを確認するものです。③特定業務従事者の健康診断は、特殊作業や特定の薬品を使用する業務に常時就いている方が受けるもので、配置換えの際か6ヶ月以内に1回の健康診断を受けなければなりません。④海外派遣労働者の健康診断は、海外で6ヶ月以上勤務する方が対象で、派遣の際と帰国して国内業務に就く際に受けることになっています。⑤給食従業員の検便は、食堂や炊事場などの給食業務に就いている方が対象で、雇入れの際や配置換えの際に行います。
雇い主の義務とは
こうした健康診断を実施し、労働者の健康診断結果を5年間保管することが雇い主には義務付けられています。そして、健康診断は受けて終わりではなく、診断結果を労働者に文書で通知し、健康診断結果によっては業務内容や勤務時間を変更するなどの就業上の措置が必要かを医師の意見を聞いて実施をします。また、50人以上の労働者を雇用する企業の場合、従業員の健康診断結果を労働基準監督署に報告する義務もあります。
健康診断を実施しなかった場合の罰則
労働安全衛生法66条に従わずに、健康診断を実施しなかった場合の罰則として、50万円以下の罰金が定められています。従業員の健康は企業にとっても重要なことです。従業員が前向きに働ける環境づくりのためにも、しっかりと義務を果たして行きましょう。