従業員を雇っている企業は、従業員に健康診断を受診させる義務があります。労働安全衛生法第66条において定められた規則なので、違反すると罰則が与えられます。様々な職種、業種の方に必須となるこの健康診断にはいくつか種類があり、その中でも対象になる従業員が多いのが雇入時健康診断と定期健康診断です。
雇入時健康診断とは
雇入時健康診断の対象
雇入時健康診断は新しく従業員を受け入れる際に行うものです。予定雇用期間が1年以上で、週の労働時間が一般社員の4分の3以上の従業員が対象となります。そのため、パート勤務の従業員にも雇用期間や労働時間によっては雇入時健康診断を受けさせなければいけません。労働時間が一般社員の半分以上である場合は実施の義務はないものの、「実施が望ましい」とされています。ただし、派遣社員の場合は、派遣元の企業が雇入時健康診断を行います。
雇入時健康診断の目的
雇入時健康診断の目的は選考のためではなく、雇用が決まった従業員の健康管理や適切な業務配置のために行います。受診時期は入社の前後3ヶ月が目安です。もし、その時期に従業員が自身で医師による健康診断を受けていた場合、健康診断結果を提出してもらえれば、企業が雇入時健康診断を実施する必要はありません。ただし、雇入時健康診断で必須となる項目を満たしているかの確認は必要です。
雇入時健康診断の検査項目
雇入時健康診断で必須の検査項目は11項目あり、身長・体重・腹囲・視力及び聴力の検査、胸部エックス線検査、血圧の測定、採血(貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査)、尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)、心電図検査、自覚症状及び他覚症状の有無の検査、そして既往歴及び業務歴の調査です。
定期健康診断とは
定期健康診断は、従業員が1年に1度受ける検査で、雇入時健康診断の結果と比較し、健康状態の変化を確認します。検査内容は基本的には雇入時健康診断と同じですが、毎年検査をして健康管理を継続して行うことで、従業員が安全に業務に従事できるようにします。診断結果によっては、業務の配置換え、労働時間の短縮などの措置が必要です。