新型コロナウイルスの初確認から4年が経過し、感染症対策の観点から、発熱外来の受診基準や診療体制、オンライン診療の対象範囲が見直されました。
本記事では、2024年度診療報酬改定の具体的な内容について解説します。
発熱外来の今までとこれから
従来の発熱外来は、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、感染リスクを最小限に抑えて適切な医療を提供するために設置されました。
今回の診療報酬改定のポイント3点を解説します。
通常診療体制への移行とゾーンニングの継続
2024年4月1日以降は、発熱外来では新型コロナだけでなく、インフルエンザなどの感染症全般を診療することに改定されました。しかし、感染リスクを減らすため発熱患者と他の患者の動線を分ける対策(ゾーンニング)が継続されます。発熱患者専用の外来や受付を設け、他の患者と接触を避けることが求められます。
恒常的な感染症対策と診療体制の見直し
2024年6月以降は、新型コロナウイルスだけでなく、全ての感染症に対する恒常的な対策へ移行しました。感染リスクを最小限に抑えつつ、適切な医療の提供が目指されます。
発熱患者と非発熱患者の接触を避け、陰圧換気や防護具の適切使用などの対策が検討され、医療現場の感染対策強化と円滑な診療体制の確保される方針です。
感染対策の強化に伴う診療報酬の改定と評価の内容
診療報酬改定と評価の内容は、特に感染対策が必要な感染症の入院患者管理が改定されました。
1 発熱患者の診療(感染対策に取り組む外来が対象)に対する加算(+20点/回)
2 入院患者の管理加算(+100~200点/日)
3 個室対応の加算拡充(+300点/日)
4 リハビリ介入加算(+50点/回)
診療報酬は医療行為ごとに決められた点数を基に「1点=10円」で計算されます。
オンライン診療の今までとこれから
オンライン診療とは、スマートフォンやパソコンなどのインターネット上で行う診察・治療を行うサービスです。新型コロナウイルス感染症の流行により需要が高まってきました。今回は特に発達障害やこどもの心の病気支援に着目してオンライン診療の改定内容を解説します。
発達障害などの子どもの心の病気支援にオンライン診療を活用
子どもの発達障害や注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム症(ASD)などの心の病気の支援を充実させるため、オンライン診療が活用される予定です。専門医による遠隔診療や指導が可能となり、病気の早期発見・早期支援が促進されます。
また、対面診療に比べて気軽に受診できるため患者と家族の負担軽減が期待されます。
発達障害や医療的ケアが必要な子ども、入院前の子どものオンライン診療を活用
発達障害のある子どもの医学的管理や、入院前の医療的ケアが必要な子どもの支援にもオンライン診療が活用されます。専門家によるオンライン上での観察や親への指導、入院前の状態把握や療育支援、医療機関への引き継ぎなどが行われる予定です。
今後は、遠隔地に住む患児と家族へ適切な医療やケアの提供が期待されています。
小児特定疾患の子どものカウンセリングをオンライン化と支援の充実
発達障害などの子どもに対し、治療計画に基づくカウンセリングが加算されます。
近年、発達障害の子どもが増加し、治療への待機期間が長いのが課題でしたが、専門医のカウンセリングをオンラインで受けられるようになりました。外出が困難な発達障害児でも適切な治療の充実が期待されます。
まとめ
今回は、今後の発熱外来と診療報酬の改定について解説しました。診療報酬の改定は定期的に行われ、私たちの医療環境を良い方向に変えようとしています。
また、オンライン診療の普及は医療分野で大きな変革をもたらすと予想されています。早期に病気を発見し、治療を始めることで、健康被害は最小限に抑えられます。オンライン診療は、このような早期発見・早期治療をより多くの人に提供できるようになる可能性があります。これからの医療サービスの変化を正しく理解し、自身や家族に合った形で上手に活用していきましょう。