がん検診にはさまざまな方法があります。今回は、日本人のがん死亡率が高い胃がんや乳がんに関する検査、その概要と検診結果の読み方について解説します。
胃がん
胃がんリスクの検査方法
胃がんリスクを検査する方法の代表的なものとして、胃カメラやバリウム検査が挙げられますが、新しい方法としてABC検診(胃がんリスク検診)があります。これは血液検査によって、胃がんの危険因子とされているピロリ菌感染の有無や胃の萎縮度を検査するものです。ただこの検査はあくまでも「胃がんリスク」を調べる検査であり、胃がんを発見するためのものではありません。
胃がん検診の結果の読み方
ABC検診の結果は、A群からE群として表されます。A群だと健康的な胃粘膜という結果で、D群になるとかなり弱った胃粘膜で胃がん発症リスクが極めて高いという結果になります。E群はピロリ菌除菌後を指しABC分類対象外です。B群以降の結果が出た場合には、一度内視鏡検査を受けることが推奨されています。
乳がん
乳がんリスクの検査方法
乳がん検査には、マンモグラフィーと乳腺エコーがあります。マンモグラフィーでは、乳房専用のX線撮影を用いた検査で、乳がんの初期症状である微細石灰化を発見しやすいのが特徴です。乳腺エコーでは、乳房の上にゼリーを塗り、プローブという小さな器具をあてて反射波を画像化して検査します。放射線を使用しないので被ばくがなく、しこりの診断を得意とする検査です。いずれの場合も、発見できない乳がんがあること、またその一方で、乳がんではないにもかかわらず、「要精密検査」という結果が出ることもあります。
腫瘍マーカー検査について
胃がんや乳がんを含む、さまざまながんの診断の補助や、診断後の経過、治療の効果をみることを目的に行う検査として、腫瘍マーカー検査があります。血液や尿などの体液により、腫瘍マーカーの値を測定する検査です。胃がんや肺がん、食道がん、大腸がん、前立腺がん、乳がん、子宮頸がんなどは採血によって検査します。膀胱がんでは、採尿で検査します。検診結果は腫瘍マーカーの値を見ますが、がんがなくても値が高くなることがあるため、それだけでがんと診断できるものではありません。
どのような検査にも共通していえることは、がん検診で発見できないがんがあること、要精密検査の結果が出たとしてもがんが確定したわけではないということです。以上の内容を理解したうえで、定期的な検診を受けるようにしましょう。