訪問診療の利便性と限界
お身体が不自由で通院が難しい方にとって、医者や看護師が自宅や老人ホームのような施設に来てくれるのは大変便利で、心理的にも安心できます。手術以外のほとんどの検査や処置ができますが、全ての検査や処置に対応できるわけではありません。
訪問診療ではどのような検査や処置が可能なのかを具体的にご紹介します。
訪問診療における通常診療
検査や処置の前に訪問診療では通常診療を行います。
問診や触診で過去の病歴などを踏まえた現在の状態、症状などをチェックし、患者様やご家族の話を聞きます。その結果、必要となれば検査や処置を行うのです。
在宅で可能な検査とその範囲
訪問診療では基本的な検査が可能です。例えば、血液検査、尿検査、検便検査、超音波検査、心電図検査、レントゲン検査があります。定期的な検査が必要なら在宅医療計画に沿って行います。
検査の結果、CT検査やMRI検査など、訪問診療で対応できないような精密検査や特殊な検査が必要になれば、近隣の医療機関やかかりつけ医と連携して対処していきます。
訪問診療で可能な処置
訪問診療では大掛かりな手術以外のほとんどの処置が可能です。例えば、点滴による薬剤投与、カテーテル管理、胃ろうなど経管栄養管理、予防接種、酸素吸入の導入と管理などです。
点滴による薬剤投与は水分や食事を口から取れなくなった場合や、腸から水分や栄養を吸収できなくなった場合、末期がんの患者様などの緩和ケアを行う場合に行います。
カテーテル管理は、自身で排泄ができない患者様に使用され、尿道カテーテルの交換などが挙げられます。胃ろうなど経管栄養管理は、脳梗塞や脳血管疾患が原因でお口での食事ができない患者様に必要な処置です。
予防接種は一般的には病院などで行いますが、接種場所まで行くことが難しい身体が不自由な方には訪問診療でも対応しています。
酸素吸入の導入と管理は、呼吸機能が低下した患者様が在宅酸素療法を行う際に受ける処置です。このように、医療用品が必要な処置であっても、訪問診療では対応できます。