胃の内部などを詳しく観察できる精度の高い検査方法として、内視鏡検査が挙げられます。内視鏡検査とはどのような時に受けるべきものなのでしょうか。上部消化管内視鏡検査と下部消化管内視鏡検査、それぞれの検査方法ごとに解説します。
上部消化管内視鏡検査が必要な症状
食道・胃・十二指腸を観察する上部消化管内視鏡検査は、「上腹部の痛み」「胃の不快感、胸焼け」「のどまたは胸のつかえ感」「吐き気、嘔吐、黒い便」といった症状がある場合に受ける必要があるものです。昔から胃がんの発生率が高い日本では、胃がんの早期発見のための上部消化管内視鏡検査をはじめとする検査技術が、世界で最も進んでいるといわれています。
下部消化管内視鏡検査が必要な症状
大腸を観察する下部消化管内視鏡検査(大腸内視鏡検査)は、血便や便秘、下痢、腹痛、膨満感などの症状がある場合に受けるべきでしょう。出血は痔のせいだと思って放置する方は多いのですが、大腸の腫瘍(がん、ポリープなど)や炎症といった大腸内病変(が疑われる)ケースがあるため、大腸内視鏡検査を受けておいたほうが安心です。
具体的な症状が出ていない場合
過去に潰瘍やがん等の治療経験がある方
また、具体的な症状が出ていない場合でも、貧血や体重の急激な減少、バリウム検査や便潜血検査で異常が発見された時などには、内視鏡検査を受けたほうがよいとされています。がんなどの疾患を見逃さないためです。そのほか、過去に胃潰瘍や十二指腸潰瘍になったことがある方、食道がんや胃がん、大腸がん、ピロリ菌感染、大腸ポリープを治療した経験がある方は、定期的に内視鏡検査を受けることをおすすめします。
家族にがん患者がいた方、飲酒や喫煙習慣がある方
がんの発症あるいは再発を見逃さず、早期発見・治療を行うためにも、内視鏡検査は有効です。一般的に40歳を過ぎたら、がんを早期発見するための定期検査が推奨されています。家族にがんになった方がいたり、飲酒や喫煙習慣があったりする方などは特に、定期的な内視鏡検査が必要だと考えられます。痛みや目に見える症状がない場合でも、身体の中でがんなどの異常が発生し、進行しているケースは少なくありません。早期の治療が要となりますので、定期的な内視鏡検査により早期発見できるようにしましょう。