訪問診療は病院に通院できない方などが、住み慣れた自宅で診療や治療を受けられる大きなメリットがあります。しかしながら、医療機器やスタッフが整った病院ではなく、自宅や高齢者施設という通常の生活環境のなかでの治療となるので、できることとできないことがあるのも事実です。今回は訪問診療にてできないことと、できることを詳しく解説していきます。
訪問診療で「できること」
まずは、訪問診療にてできることから解説します。訪問診療でできることは、通常診療です。これは、医師による問診や触診などで、病院でも医師によって必ず行われます。次に経管栄養管理です。経管栄養管理とは、消化機能に問題はないものの何らかの理由で、口から栄養を摂る経口摂取ができない患者様に適用されます。経管栄養管理をしっかり行うことで、栄養状態が良好となり肺炎の予防にもつながります。緩和ケアも訪問診療でもできることがあります。特に「がん緩和ケア」は、終末期医療を希望する方に行われる治療法です。点滴薬剤投与も訪問診療で可能となりますが、病院と同じ点滴薬剤投与ができないケースもあります。訪問診療で利用できる注射薬は「保険医が投与することができる注射薬」であると定められているためです。「厚生労働大臣の定める注射薬」以外のものを投与することはできませんので、場合によっては最善の薬を使用することができないかもしれません。
訪問診療で「できないこと」
次は訪問診療ではできないことについて見てみましょう。自宅環境での治療となるため、規模の大きい手術は行うことができません。自宅で転んで手足を負傷した場合などに行われるような小さな手術は可能です。しかし規模の大きい手術になると、病院に備え付けられている無菌状態となる手術室が必要なので、自宅で手術することは不可能となります。
また、医療機械を使用した検査も当然ながら機械がないので、訪問診療ではできません。
具体的にはCT検査やMRI検査などです。どうしてもこのような検査が必要と医師が判断した場合は、患者様や家族の意思を確認した上で、医療機関にて検査を受けることになります。このように、訪問診療ではできないこともありますが、多くが医師や看護師にて自宅や高齢者施設で治療を行うことが可能です。