胃潰瘍と十二指腸潰瘍の基本
胃潰瘍、十二指腸潰瘍は、胃や十二指腸の組織が胃液の刺激により損傷していく疾患のことです。
胸焼けや胃もたれ、吐き気、食欲不振、食後や空腹時のみぞおちの痛みなどの症状がひとつでも当てはまる場合は、胃潰瘍か十二指腸潰瘍の疑いがあります。
重度になると痛みや吐血、下血の症状が出たり、胃や十二指腸に穴が空いた状態になってしまったりするため、速やかな受診が必要です。
潰瘍を引き起こす主な原因
胃潰瘍と十二指腸潰瘍の原因は、胃酸の過剰分泌によって内壁の組織が損傷することです。
胃は食べた物を消化するために強酸性の液体を分泌しています。本来、胃の内壁は胃粘膜で覆われているため、胃酸が分泌されても問題なく動いています。しかし、過剰な分泌は胃の粘膜を溶かし、守られていた内壁を傷つけ始めてしまい、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の症状が出てきます。胃潰瘍と十二指腸潰瘍の原因は長年ストレスといわれていましたが、近年になってピロリ菌が原因となっているケースが多いことがわかってきました。
従来では手術だけで対応してきましたが、内服治療でほぼ完治するケースも多く、再発防止のための治療もあります。
内視鏡検査と治療の進展
胃潰瘍と十二指腸潰瘍の疑いがある場合、まず内視鏡検査を行います。内視鏡検査と聞くと抵抗感を覚える方も多いですが、鎮静剤や鎮痛剤を使用したり、経鼻内視鏡で行ったりすることで、苦痛をあまり感じずに検査をすることが可能です。
患者様の症状が別の病気の原因になっている場合もあるため、内視鏡写真で胃の中を確認し病名を特定します。出血している場合は止血処置を行い、もしも内壁に穴が空いていれば早急な手術が必要です。
胃酸をおさえる薬の内服治療だけで治るケースもあり、その場合は2ヶ月ほどで綺麗に治ります。ピロリ菌の感染が確認できれば、ピロリ菌を除菌することで再発の可能性が低くなります。
原因がわからない潰瘍もまだ多くあり、手術で対処することもありますが、研究も進み新薬も開発されているため、内服治療だけで完治できる疾患となってきています。