診察用の道具
訪問診療では、病院と変わらない診察や治療を行うためにさまざまな道具を往診バッグに詰め、患者様のご自宅まで持っていきます。特に必要不可欠な道具は、聴診器と血圧計・パルスオキシメータ・電子体温計が挙げられます。
聴診器と血圧計・電子体温計は診察に使用し、心音や体温から患者様の健康状態を把握するのに重要な道具です。パルスオキシメータは動脈血酸素飽和度を測定できる道具で、酸素吸入している患者様に使用します。採血を行わなくても、皮膚を通して赤血球に含まれるヘモグロビンに酸素がどのぐらい結合しているか確認できるため便利な道具として挙げられます。その他診察で使用する基本的な道具として医療用ペンライトが挙げられ、口腔内や喉の奥の確認、瞳孔の大きさを観測するのに必要不可欠な道具です。
処置用の道具
訪問診療では診察だけでなく処置も行っていくため、診察以外の道具も必要です。よって、処置用セットも往診バックに入れて持っていきます。処置用セットは、ガーゼ・消毒用綿棒・カテーテルなどを簡単にまとめている場合が多いです。注射・採血セットは血液検査を行う場合に必要で、より具体的な検査を行えます。血糖測定器と潜血反応キットは主に糖尿病の患者様に使用する道具で血糖測定器は血液中の糖濃度を測定します。潜血反応キットは、便や嘔吐物に血液が混じっていないか確認できる道具です。
その他の道具
患者様の病状によって持参する道具は変わり、薬剤も患者様に合わせる必要がありますが、経口薬や注射薬、抗菌薬・ステロイド薬・利尿薬は常備している場合が多いです。セフトリアキゾンナトリウムやレボフロキサシンは、訪問診療ではよく使用します。訪問診療は緊急時にも対応するため、50%ブドウ糖液やアドレナリンも常備している場合は少なくありません。緩和ケアであればオピオイドが必要になる場合もありますが、これは往診カバンに常備するのではなく、必要な時に自院から持ち出すのが原則となっています。