一般健康診断とは
企業では労働者に対して医師による健康診断を実施することが、安全衛生法第66条により義務づけられています。なかでも一般健康診断は、職種や勤務時間にかかわらず、全労働者に対して実施する義務があるとされています。なお、一般健康診断には、新しく採用した労働者に対して実施する「雇入時の健康診断」も含まれます。今回は、一般健康診断を行う義務がある「全労働者」にはどのような立場の人が含まれるのかを解説します。
一般健康診断の対象者
パートやアルバイトの場合
正社員以外に、パートやアルバイトも対象者となります。ただし、法令上の実施規定はありません。パートやアルバイトの場合には、労働時間を基準として実施の有無が決まるのが基本です。まず、無期契約もしくは契約期間が1年以上の有期契約の労働者が対象です。そのうえで、正社員の週所定労働時間の4分の3以上働いている者に対して、健康診断の実施義務が発生します。
派遣社員の場合
派遣社員についてはパートやアルバイトと同様に、就業期間や勤務時間に応じて健康診断の受診基準を設定しているのがほとんどです。派遣先企業で半年働いたら受けられるケースや、週の勤務時間の規定を設けているケースなど、条件はさまざまです。一般健康診断の場合は基本的に派遣元企業で受診することになっています。
役員の場合
そのほか、役員の場合は労働性があるか否かで実施義務が判断されるのが一般的です。例えば常務取締役兼工場長などは健康診断の対象者となり、代表取締役社長は事業主なので実施義務はありません。実際には、役員の健康は企業の存続に関わることでもあり、健康診断を実施するべきだと考えられます。
労働者の家族や配偶者の場合
労働者の家族や配偶者に関しては、健康診断実施の対象にはなりません。企業が健康配慮義務を負うのは、そこで実際に労働している従業員のみです。企業に従業員が1人でもいる場合は、企業規模の大小にかかわらず健康診断の実施義務があります。対象者となる条件をきちんと把握したうえで、適切に実施することが求められます。