妊娠中から出産後1年以内の方は特定健診の受診対象者から除外されていますが、妊娠中や授乳中でも健康診断や人間ドックを受けること自体は可能です。
しかし、胎児や乳幼児への影響を考えて、必要時以外は項目から外れる検査があります。
基本的に妊娠中、授乳中に受けられない検査はレントゲン検査(X線検査)、CT検査、MRI検査、内視鏡検査などです。
他にも体調によっては受けられない検査や、妊娠の週数によっては正しい結果が得られない検査もありますので事前の確認が必要です。
妊娠中のレントゲン検査は危ない?
レントゲン検査(X線検査)は放射線を照射して行う検査のため、妊娠中は胎児への放射線被ばくが懸念されます。
しかし、胎児が被ばくする可能性は50mGy(ミリグレイ)であれば問題ないとされており、レントゲン検査や乳がん検査で行うマンモグラフィ検査などの放射線量は50mGy未満です。
そのため、数値上では通常のレントゲン検査は胎児に影響はないですが、悪影響の可能性がゼロではありません。
誤って被ばくする可能性も考慮して、病気の疑いがあるなど、特殊な場合を除き、妊娠中のレントゲン検査は不可としていることが一般的です。
その他の避けるべき検査
CT検査、MRI検査、内視鏡検査は薬剤を使用することもあり、母体や胎児への悪影響が考えられます。
CT検査やMRI検査で使用されるガドリニウム造影剤や、胃カメラや大腸カメラなどの内視鏡検査に使用する鎮静薬は胎児への安全性が確立されていないため、妊娠中は検査を実施しないことが求められています。
なお、MRI検査はガドリニウム造影剤を使用しない場合でも、長時間同じ体勢でいることで体調不良になる可能性を考えて、実施されないことがあります。
マンモグラフィ検査は、検査の際に強く乳房を圧迫刺激する検査です。乳房を圧迫することで子宮収縮が生じる可能性も高く、胎児への影響を考慮して妊娠中は避けるべき検査となります。
乳房を圧迫するため授乳中の検査も推奨されていません。さらに、妊娠中や授乳中は乳腺が発達しているため、検査を行っても適切な診断ができない可能性が高いため、多くの医院では実施していないというのが実情です。